はじめに
こんにちは、TOOOAの竹内です。今回は、2025年2月にタイで1ヶ月間の短期留学を通じて学んだ、アプリ開発におけるローカライゼーションの重要性についてお話しします。現地でのインターン経験や文化交流を通じて得た、グローバル展開を成功させるための実践的な知見をお伝えします。
この記事では、技術的な詳細だけでなく、現地での生活体験から見えてきた文化的な違いや、それがアプリ開発にどう影響するかについても詳しく解説していきます。海外展開を考えている開発者の方の参考になれば幸いです。
タイ留学の概要
私が参加したのは、早稲田大学とタイのPIM経営学院との交流プログラムでした。CPグループが運営するこの学院で、1ヶ月間の短期留学を経験しました。
「現地に住んでみないと分からないユーザーの行動パターンや文化的背景がある」
— 留学中に実感したこと
留学プログラムの詳細
- 期間: 2025年2月(1ヶ月間)
- 留学先: PIM経営学院
- 運営: タイ最大財閥CPグループ
- 総費用: 約10万円(補助金7万円含む)
アプリ開発者から見たタイ市場の特徴
| 項目 | 日本 | タイ | 開発への影響 |
|---|---|---|---|
| 主要SNS | LINE, Twitter, Instagram | LINE, Facebook, TikTok | シェア機能の最適化が必要 |
| 決済方法 | クレカ, 電子マネー | 現金, モバイル決済 | 決済システムの多様化対応 |
| 言語 | 日本語 | タイ語, 英語 | 多言語対応とフォント選択 |
| 通信環境 | 高速・安定 | 地域差あり | 軽量化とオフライン対応 |
タイユーザーの行動特性
- 音声機能への依存度が高い
- グループ学習を好む文化的背景
- 視覚的なフィードバックを重視
- 短時間集中型の学習スタイル
CPALLインターンで学んだビジネス視点
インターンでの主な業務
- 市場調査レポートの作成
- 競合分析と参入戦略の検討
- 英語でのプレゼンテーション
- 現地スタッフとの協業
現地ユーザー理解
机上の調査だけでは見えない、実際のユーザー行動を理解することが重要
文化的背景の理解
宗教や価値観など、深い文化的理解がUX設計に大きく影響
段階的アプローチ
一度にすべてを変えるのではなく、段階的な展開が効果的
現地パートナーシップ
現地の信頼できるパートナーとの協力が成功の鍵
市場調査フェーズ
- ユーザーインタビュー
- 競合分析
- 現地ニーズの把握
技術的適応フェーズ
- タイ語フォント対応
- 通信環境最適化
- 決済システム検討
コンテンツローカライゼーション
- 文化的コンテキスト対応
- UI/UX調整
- 現地テスト実施
実践的なローカライゼーション戦略
タイ語対応フォント設定の例
let thaiFont = UIFont(name: "Sukhumvit Set", size: 16)
let thaiText = "สวัสดีครับ ผมชื่อโอโตะ"
let attributedString = NSMutableAttributedString(string: thaiText)
attributedString.addAttribute(.font, value: thaiFont, range: NSRange(location: 0, length: thaiText.count))
決済システムの課題と対策
- TrueMoney, Rabbit LINE Pay など現地決済対応
- 現地パートナーとの技術連携
- 国際的な決済手段から開始
教育現場での発見
現地の幼稚園を訪問した際、子どもたちの学習スタイルが日本と大きく異なることを発見しました。グループでの協調学習を重視し、視覚的な教材を好む傾向が強いことが分かりました。
技術実装における具体的な課題
課題
- タイ語表示の複雑さ(文字の結合ルール)
- 文化的配慮をUXに反映する難しさ
- 継続的な改善とアップデートの仕組み
タイ語対応版リリース
基本的なタイ語表示とフォント対応を実装
文化的機能追加
グループ学習機能とソーシャル要素の強化
決済システム統合
現地決済サービスとの連携機能を実装
文化交流から学んだUX設計のヒント
文化的UX設計のポイント
- 協調学習: 個人よりもグループでの学習を重視する文化
- 視覚的フィードバック: 色彩豊かで直感的なUIを好む傾向
- 短時間集中: 長時間の集中よりも短時間での反復学習
- 色彩感覚: 暖色系を好み、金色に特別な意味を持つ
- 宗教的配慮: 仏教的価値観を尊重したコンテンツ設計
今後の展開
タイ語学習アプリ
日本人向けのタイ語学習アプリの開発を計画中
多言語対応フレームワーク
今回の知見を活かした汎用的なローカライゼーションフレームワーク
現地パートナーシップ強化
タイの開発者コミュニティとの継続的な協力関係構築
文化的適応の標準化
他の東南アジア諸国への展開に向けた知見の体系化
一緒にグローバル展開を目指しませんか?
タイ市場への展開や多言語対応アプリの開発に興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
重要な学び
- 現地体験の重要性: 実際に現地で生活することで見えてくるユーザーニーズ
- 文化的配慮: 技術的な対応だけでなく、文化的背景の理解が必須
- 段階的アプローチ: 一度にすべてを変えるのではなく、段階的な展開が効果的
- 現地パートナーシップ: 信頼できる現地パートナーとの協力が成功の鍵
- 継続的な学習: 市場や文化は常に変化するため、継続的な学習が必要
現地ユーザーと接することで、文化的背景や価値観を理解することが成功の近道。技術だけでなく、人と人とのつながりを大切にしながら、グローバル展開を進めていきたいと思います。