はじめに
こんにちは、TOOOAの竹内です。今回は、個人開発でiOSアプリを7つリリースするまでの経験談をお話しします。プログラミング初心者から始まり、App Storeで実際にアプリを公開するまでの道のりは決して平坦ではありませんでしたが、多くの学びと成長がありました。
この記事では、技術的な詳細だけでなく、個人開発者として直面した課題や、それをどう乗り越えたかについても詳しく解説していきます。これから個人開発を始めようと考えている方の参考になれば幸いです。
個人開発を始めたきっかけ
私が個人開発を始めたきっかけは、大学での語学学習でした。中国語、韓国語、スペイン語など複数の言語を学ぶ中で、「もっと効率的に単語を覚える方法はないか」と考えるようになりました。
「既存の語学学習アプリは機能が多すぎて、シンプルに単語を覚えたい時には使いづらい」
— 開発当時の私の思い
市場にある語学学習アプリを調査した結果、以下のような課題を発見しました:
- 機能が多すぎて初心者には複雑
- オフラインで使えないものが多い
- 特定の言語に特化したアプリが少ない
- シンプルな単語帳機能だけが欲しい
これらの課題を解決するため、「シンプルで使いやすい単語帳アプリ」の開発を決意しました。
初めてのアプリ開発
技術選択の理由
初めてのアプリ開発では、以下の理由でiOS(Swift)を選択しました:
iOS開発を選んだ理由
- 開発環境の統一性:Xcodeですべて完結
- 審査プロセス:品質の高いアプリが求められる
- 収益性:有料アプリでも購入されやすい
- 学習リソース:日本語の情報が豊富
開発プロセス
最初のアプリ「中国語単語帳500」の開発は、以下のステップで進めました:
- 企画・設計(2週間)
- ユーザーストーリーの作成
- 画面遷移図の作成
- データベース設計
- プロトタイプ開発(1週間)
- 基本的なUI実装
- データ表示機能
- ナビゲーション実装
- 機能実装(3週間)
- 単語データの管理
- クイズ機能
- 音声再生機能
- 学習進捗管理
- テスト・デバッグ(1週間)
- App Store申請(1週間)
直面した課題と解決策
1. App Store審査での却下
最初のアプリは、審査で2回却下されました。主な理由は以下の通りです:
却下理由と対策
| 却下理由 | 対策 |
|---|---|
| メタデータの不備 | スクリーンショットとアプリ説明文の改善 |
| クラッシュバグ | 例外処理の追加とテストケース拡充 |
| ユーザビリティの問題 | 初回起動時のチュートリアル追加 |
2. ユーザーフィードバックへの対応
アプリリリース後、ユーザーから様々なフィードバックをいただきました:
ポジティブなフィードバック
- 「シンプルで使いやすい」
- 「オフラインで使えるのが便利」
- 「音声機能が学習に役立つ」
改善要望
- 「もっと多くの単語を追加してほしい」
- 「学習進捗をグラフで見たい」
- 「間違えた単語だけ復習したい」
3. 継続的な改善とアップデート
ユーザーフィードバックを基に、定期的なアップデートを実施しました:
初回リリース
基本的な単語帳機能、500語収録
学習進捗機能追加
学習状況の可視化、復習機能
UI/UX改善
ダークモード対応、アニメーション追加
7つのアプリ紹介
現在までにリリースした7つのアプリをご紹介します:
- 中国語単語帳500(HSK対応・音声付き)
- 韓国語単語帳500(TOPIK対応)
- スペイン語単語帳500(DELE対応)
- フランス語単語帳
- タイ語単語帳500
- ドイツ語単語帳500
- オフラインゲーム集
学んだこと・失敗談
- コード品質: 保守性・再利用性を考えた設計の重要性を痛感
- データ管理: Core Dataの設計とパフォーマンス最適化
- UI/UX: 継続利用を促すシンプル設計とアクセシビリティ
- テスト: 自動テスト導入とクラッシュレポートによる改善サイクル
- 失敗談: 多機能化での複雑化を反省し機能の絞り込みへ
今後の展望
- 新技術: SwiftUI・機械学習・ARの実装研究
- 発信・連携: ブログ・勉強会・OSS での知見共有
- グローバル: 多言語対応強化と現地リサーチ
まとめ
個人開発でiOSアプリを7つリリースするまでの道のりは、技術的な挑戦だけでなく、ビジネス面での学びも多い貴重な経験でした。
重要なポイント
- ユーザー目線での開発:自分が欲しいものを作ることから始める
- シンプルさの追求:機能を絞り込み、使いやすさを重視する
- 継続的な改善:リリース後も定期的なアップデートを行う
- フィードバックの活用:ユーザーの声を真摯に受け止める
- 技術への投資:新しい技術を学び続ける
これから個人開発を始める方へのアドバイスとして、「完璧を求めすぎず、まずは小さく始めること」をお勧めします。最初のアプリは完璧でなくても構いません。リリースして、ユーザーの反応を見ながら改善していくことが重要です。
個人開発は決して楽な道ではありませんが、自分のアイデアを形にし、多くの人に使ってもらえる喜びは何物にも代えがたいものです。皆さんも是非、個人開発の世界に挑戦してみてください。